最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)1402 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人阿久根幸吉の上告趣意第一点について。
論旨引用にかかる当裁判所の判例の趣旨とするところは「有罪の言渡をするには、
どの証拠でどの事実を認めたかを明らかにする必要があるけれども、必ずしも各犯
罪事実ごとに個別的にこれを認めた証拠の標目を示さなければならないわけではな
い。数個の犯罪事実について数多の証拠の標目を一括して掲げて説明しても、判文
と記録とを照らし合せて見て、どの証拠でどの事実を認めたかが明白であるかぎり、
違法ではない。」というにある(昭和二五年(あ)一〇六八号、同年九月一九日第
三小法廷判決、集四巻九号一六九五頁)。原判決は、この「判例の趣旨は同一被告
人に関する場合に限るものではなく、共同被告人に対する証拠を示す場合も同様で
あり、また共同被告人の共同犯行と、被告人の単独犯行との事実が併存する場合で
も同様であるものと解するを相当とする。」旨判示しているが、原判決のこの判断
は何等右当裁判所の判例の趣旨と相反するものでないこと判文上明白であるから、
判例違反の所論は採用するに足りない。(原判決は第一審判決を破棄して自から被
告人の単独犯行一個だけを認定しこれに対する証拠を挙示しているのであるから、
右の点は判決に影響を及ぼさず、原審としては必しも説示するを要しなかつたので
あるが、控訴趣意に対してなされた右判示は相当である。)
同第二点について。
所論は事実誤認の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三二年一〇月八日
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
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